鍋島直澄公とシビックプライド


   嬉野市歴史民俗資料館で、焼き物・窯業をはじめ産業振興を奨励し、「肥前吉田焼」「志田焼」の礎を築いた名君として知られる初代蓮池藩主・鍋島直澄公(1616―1669年)の没後350周年の特別企画展が開かれています。

 

   直澄公は塩田町五町田の吉浦神社の近くで晩年を過ごし、その地で没したと言われています。直澄公の五女が、父と夫の菩提を弔うために建立された光桂禅寺(今の社会福祉法人「済昭園」)や、直澄公のお抱えの医者で煎茶道の祖・高遊外売茶翁の父でもある柴山五渓の墓所など、直澄公が嬉野市に残した足跡をたどる貴重な資料が並んでいます。

 

   歴代の蓮池藩主の肖像と功績も紹介されていて、蘭学に通じて「蘭癖大名」と呼ばれた8代の直與(1798―1864年)が西洋流の大砲の威力を試すために海路で塩田町久間を訪れ、山に向かって大砲をぶっ放す軍事演習を行うなど、地元民でも新たな発見をさせられる展示となっています。

 

   今年は明治維新150年の節目の年にあたり、佐賀県主催の「肥前さが幕末維新博覧会」をはじめ、嬉野市内でも嬉野・塩田の10人の偉人を紹介するスタンプラリーなどの関連事業が開かれるなど、私たちのルーツをたどり、地域の歴史を見直す事業が各地で開かれています。

 

    「うれしの茶」も150年前には、世界中に輸出されて外貨を稼ぎ、長崎商人を通じて坂本龍馬ら幕末の志士の活動資金として提供され、日本を夜明けに導くなどわれわれ市民にとっては誇らしい歴史が語り継がれてきました。そうした歴史の積み重ねが今の嬉野市やこの国の繁栄を築き、市民の考え方の根底に息づいていると思います。

 

   普段は意識することが少なくても、こうした節目ごとに先人の偉業や志に触れることは、今を生きる我々や次世代を担う子どもたちにとって大事なことだと考えます。特に不確かさに満ちあふれ、混迷の今こそ、市民としての誇り(=シビックプライド)が乱世を生き抜くための羅針盤になると信じています。「嬉野市民でよかった」と思えばこそ、「このまちに住みたい」「このまちに訪れることを人にすすめたい」「このまちのために志を立てて行動をしたい」という気持ちが自然とわき出るのではないかと思います。

 

   私も今回の展示を見て、今は直澄公に遠く及ばないながらも、一歩でも近づくことができるように産業振興や次世代の人づくりに取り組んで参りたいと決意を新たにしました。

 


   嬉野市歴史民俗資料館は塩田図書館と併設。来年1月14日まで(12月25日、28日~1月4日、7日は休館)。入館無料。電話0954(66)9130

 

 

企画展:鍋島直澄

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