日本一に「こだわる」理由

 

   嬉野市では「うれしの茶」の収穫の最盛期を迎え、山々に連なる茶畑の緑がいっそう輝いています。4月16日に開かれた今年度初入札は最高価格5万1千円となり、順調な滑り出しとなっています。今年も多くの皆さんに馥郁(ふくいく)たる香りとほのかな甘みの「うれしの茶」を多くの方に楽しんでいただきたいと思います。

 

   さて、21日には全国茶品評会に出品する茶園でボランティアによる手摘み作業が行われました。7月並みの暑さの中でしたが、120人の皆さんが頑張っていただいたおかげで作業は順調に行われました。嬉野市は平成21年度~25年度にかけて5年連続最高賞となる農林水産大臣賞と産地賞を受賞してきましたが、出品数量のルール変更などもあってここ数年は受賞を逃しています。当然、大臣賞獲得がすべてではないですし、受賞から遠ざかっている間も私は「うれしの茶」が日本一おいしいと思ってきました。近年は若手生産者の台頭が顕著で、むしろ品質や栽培技術は年々良くなっている実感さえあります。

 

   それでもなお、日本一の称号に「こだわる」のは理由があります。お茶も含め、佐賀県農林水産業の特色はどの作物も平均点が高いことです。タマネギ、アスパラ、米、イチゴ、かんきつ類全般、ノリもその一例です。日本農政史を紐解けば必ず登場する「佐賀段階」「新佐賀段階」に象徴されるように、強固な地域の結びつきを背景に助け合い、支えあいながらも高めあい、産地を形成してきた伝統があります。ただ、これほどモノがあふれる時代において選ばれるには、「とんがった存在」も求められることを、トップセールスの現場に立つ中で強く実感します。「日本一のお茶」という大義名分があれば、消費者に訴える力もその分だけ強くなります。日本一のお茶の産地を訪ねる観光誘致や他地域の特産品と日本一同士でのコラボレーションなど、さまざまな戦略に乗せて嬉野市そのものを選ばれる街へと押し上げることも可能となります。

 

   「ナンバーワンよりオンリーワン」―。かつての流行歌で言い尽くされた言葉となりましたが、「うれしの茶」はすでにオンリーワンの存在です。600年の歴史を誇る産地はほかになく、勾玉のような形状の玉緑茶(ぐり茶)も全国的には希少です。嬉野発祥の釜炒り製法も根強いファンも多く、もっと知られていいと思います。誤解を恐れずに言えば、そのオンリーワンの産地の物語を伝える手段の1つとして日本一を目指すのです。「うれしの茶」は単なる特産品ではなく、地域の誇りそのもの。名実ともに「日本一のお茶のまち」として嬉野市が光り輝くまちと広く認知いただけるよう、産地と市民の総力を結集して努力を重ねて参る所存です。

 

手摘み作業画像

  

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